2017年2月8日水曜日

管理釣り場(2001年11月/新聞LF紙)

さて、バスワールド誌編が終わったので、別のを見てみます。契約形式上、転載できるのは書いたものすべて可能みたいですが、とりあえず休刊したものメインに進めてみます。
本当は同じエイ出版のトップ堂連載に行こうと思ってましたが、笑い要素が強いため、ルアー&フライニュース紙を。
 シーバスとバスがメインの新聞です。新聞なので、誌ではなく『紙』表記にしました。関東をメインにコンビニに販売網があり、ここに大きく紹介されることで売り上げが凄まじいことになったのを記憶しています。SIN-ZOベイトが初年度からとんでもないフィーバーを起こしたのも、その印税で会社を立ち上げられたのも、かなりこの紙面のおかげです。
以前も書きましたが、当時、管理釣り場のイメージが向上してきた過渡期でしたが、プロのトラウトアングラーは出入りしたがらず、なかなか目を引く記事がありませんでした。その頃管理釣り場のクランキングを紹介して好調だったワタクシに、執筆協力していたシーバス記事のついでに声がかかったみたいです。内容は大胆にしてフランク過ぎで、冗談と思って試した人たちが衝撃を受けまくったらしく、ある意味話題(笑)になりました。この時から管理釣り場でのルアーサイズのルールが厳しくなっていきます。また、ここから小さなコマ連載も始まりました。




管理釣り場で楽しもう
2001年11月記事

プロフィール:
小川健太郎
 SIN-ZOベイトのデザイン、365日連続釣行×2回(うちトラウトは100日)、池原のヤーガラ、バドなどでごく一部のマニアにだけ大いに知られる。大学では漁場学を専攻。通称オガケン。2月9日のバッシングバッシングショー東京で、SIN-ZOイベント予定。詳しくはhttp://●●●(当時のURL)にて。

リード
 冬至を迎え、日増しに気温が下がってくると管理釣り場の人気がヒートアップする。しかし、管理釣り場といっても河川型、ポンド(池)型など、さまざまな釣り場のタイプがあったり、魚種が多様化していたりと、ひとくちに攻略できないのが現状だ。そこで、今回は釣り場別、魚種別に管理釣り場の攻略法を紹介しよう。

◇管理釣り場のタイプ
 今回紹介するのは、トラウトの管理釣り場で2タイプ。一つは河川型で、流れのある川を利用したものだ。河川型の中にも渓流や本流、さらには細かく堰堤で区切ったものまであるが、基本的に流れがある釣り場は共通点が多いので一つにまとめてみる。もう一つは止水型で、池のような水の出入りが少ない釣り場である。このなかにはポンド(池)、レイクと呼ばれるものや、コンクリートで四方をかためたものなどがあるが、水が動かない釣り場としてひとくくりで考えてみよう。

●河川型の狙いメ
 流れのある釣り場は、慣れない方には取っ付きにくいかもしれないが、基本的にスレにくいので一日中楽しめる。はじめての人のためのコツは『深くなっているエリアをきっちりさぐる』ことである。速い流れの中や表層にも魚はいるが、これらは人間のほうが流れに慣れてから狙っても遅くない。流れが緩ければ3.5gまでの肉厚スプーン、流れが速くてスプーンが浮く場合、4cmクラスの『きっちり泳ぐ』ダイビングシャッドを用いる。いずれのルアーも、とりあえず底を狙う。朝、まだ暗いウチから釣りができる場合、白系の4〜5cmのミノーが有効だ。パニッシュ、チェイスミノー、ハンプバックミノーを使用しているが、リップが短いものなら、とりあえず深さがわからなくても根掛かりを恐れず投げられる。明るくなりはじめたら金色にルアーチェンジ、気温が上がりだしたらスプーンに切り替えていく。
・アタリ
 流れの中の魚は、わりとアタリがダイレクトに出るのでフックアップはしやすい。しっかりロッドでハリをかけて、巻きアワセで追いアワセするとよい。流れの速い場所では、流れに飲まれることを想定して、あらかじめ取込み位置を考えておいたほうが周りに迷惑をかけない。
・濁り
 濁りに関しては、工事などであまり強いニゴリがでると、pHが急変して魚が食わなくなり、お手上げになる。雨で濁った程度であればかなり期待したい。温度の急変さえなければ一日中釣れ続く可能性がある。

●止水型
 関東に多いのが、この止水型の釣り場である。基本的に、放流直後などは誰でも釣れるが、ピークを過ぎれば誰も釣れなくなってしまうという恐ろしいタイプの釣り場が多い。これは群れの習性がモロに出てしまうためで、好奇心旺盛なやつがハリに掛かってバレたりするだけでその場の他の魚に丸見えとなり、スレてしまうことが多いのだ。
 数を狙いたい人はプレッシャーが少ない放流直後の魚を、得意ルアーで乱獲してしまえばよいのだが、食わなくなったときが問題だ。通常こういった釣り場は水が動かないため、さまざまな温度が層をなしている。これによって一定のレンジを狙う重要性が出てくるのだ。持つべきルアーは表層、宙層、底層という、日や時間帯によって違うそれぞれの層を、『スローに、かつきっちり探ることのできるルアー』である。市販のルアーのほとんどが宙層、底層をキープできるので、このあたりはなんとでもなるが、表層をスローにキチンと狙えるものが以外と少ない。表層はミノーばかりで攻められ、すでにスレているので、こういうときには凧スプーン、ハスルアー1.8gなど、ヒラヒラさせられるルアーが効果的だ。
・アタリ
 渋くなると、アタリも取りづらくなる場合が多い。とにかくロッドを立て気味にしてラインを注意深く見ておくのがコツ。ラインが走ったらアワせてみたほうがよい。
・濁り
 雨の濁りなど、こういうエリアでの濁りは群れの魚が互いに見えなくなるため、プレッシャーが減り、釣れ続く要因になってくれる。ただ、温度の急変による濁りだけは水質も悪化している可能性があり、釣れない原因になるので注意。

◇魚種の釣り分け
 ニジマスがメインとなることが多い管理釣り場だが、最近は色々な魚種を放流する釣り場が増えてきた。これに伴い、魚の習性が違うため、釣り分けなどができるものがあるので紹介したいと思う。

●ブラウントラウト
 基本的に居着きタイプの魚で、魚の目線より上の白い色、目線より下の黒い色への偏食傾向が見られる。活動時間帯も暗いウチが活発で、日の出の時間にピークを迎える個体が多い。白くて丸いシャロークランクなどが効果的で、スーパーの袋などの切れ端でもよく釣れるくらい、とにかく白系が好きなように見える。

●イワナ
 日本で養殖されるものは数種類いるが、管理釣り場で放流されるイワナの品種は、高温でも多少耐久性があるようだ。特に温度の上昇時には一点でビシビシ高速トウィッチすると、耐え切れなくなって食ってくる。また、平らなクランクやウォブリング系のルアーなど、移動距離に対してよく腰を振るものを好む。習性が居着きであるために緑〜チャート、白のルアーを好む。

◇困ったときのウラワザ ベスト5
●釣れないときはデッドスロー
 どうしても釣れないときは、ミニミニクランクやブルブルとウォブリングするミノーを、いったん最大深度まで潜らせたあと、あえてブルブルするかしないかの限界の速度で巻いてみよう。もしくはスプーンを底にかするかかすらないかのスピードで、巻いてくる。どちらもアンテナのようにロッドを立てて巻くのがコツ。アタリはラインが走るので、ロッドが引き込まれる時にアワセて乗せるとよい。

●デカイのがイイ!
 20cm前後ばかりしか釣れなくて困ったときは、クランクベイトの出番だ。クランクは最近各社から出ているものでオッケイ。カラーがシビアに釣果に出るので色々用意すると楽しめると思う。押さえておきたいのは白、金、赤で、チャートや黒、マットグリーン、オレンジ、リアル系なども爆発する可能性がある。

●魚が見向きもしなくなったら
 朝10時を過ぎると、急に見向きもしなくなることがある。こういうときは7cm以上のクリアレッドの赤ミノーを試してもらいたい。大きいミノーに関しては、アクションの問題とカラーの問題が大きく出てくる。アクションは頭を支点にフラフラと泳ぐもの、カラーはゴーストレッドがスレたニジマスにはダントツである。この条件さえクリアすれば、なんと12.5cmのアイマコモモでも釣れる。オススメはチェックベイト7Sの赤。サンドペーパーを荒くかけるとホロが滲んで、水を吸ったアワビ貼りのように光る。注意したいのは、こういうルアーを投げると着水音が大きくなってしまうことである。他の人の視線もあるので、気になる人はコッソリ使ってみよう。(※現代では怒られる釣り場の方がほとんどです)

●エキスパートはゴマンといるが
 個人的な話だが、僕は『発見を楽しむ釣り』がメインなので、先述のような大型のルアーを投げることが多い。これではどうしても着水音が大きく、魚のサイズも大きくなってしまい、周囲に迷惑をかけてしまう。こういうときはシロウト丸出しのスタイルでもって堂々と投げるのがオススメ。基本は右投げ右巻き、竿尻を持ってリールを巻く場合もある。こういう方法だと多少騒々しくしてしまっても諦めてくれるし、親切に写真をとってくれたり、情報など教えてくれる場合まであるのでお得だ。さらに、常に身も心も初心者でいると、釣れた一匹の味わいもひとしお、なのである。

●根掛かりに困ったら
 管理釣り場は、水中にあるラインなどのゴミに引っかかることが多い。通常ルアーリトリーバーが活躍するが、届かない場合も多い。僕はショートジギングロッド、PE10号&メタルジグなどを利用して、根掛かった自分のルアー以外の見えているルアーも勝手に回収している。これは怒られる場所、時間帯などもあるので、とにかく慎重にやらなければならないが、ラインを回収して釣りをしやすくしたりできるうえに、拾ったルアーを使うので、無料で新しい発見ができたり、経済的にもおトクなウラワザなのである。

オガケン タックル
<河川型の釣り場>
ロッド:UFMウエダストリームトウィッチャーボロンTS-56UL
リール:リョービ ゼスターMX1000
ライン:クレハ リバージトラウト4Lb
ルアー:スカジットデザインズ ダイビングビートル
    スミス ピュア GOOカラー

<ポンド(池)型の釣り場>
ロッド:UFMウエダストリームスピンボロンSS-56EXL
リール:リョービ ゼスターMX1000
ライン:クレハ リバージエクスクール4Lb
ルアー:ラッキークラフト ベビークランク
    自作 SIN-ZOプラグ
    スカジットデザインズ 凧スプーン
    スミス ルナ

<7cm以上のミノー用>
ロッド:UFMウエダ スプリットショットスペシャルSSS-610S
リール:リョービ ゼスターMX2000
ライン:クレハ リバージソルト6Lb
ルアー:アイマ サスケ オヌマレッド
    スカジットデザインズ チェックベイト7S ゴーストレッド(サンドペーパー掛けバージョンとノーマルを必ず持っていく。)

※赤いルアーはフックは鉄製に換えて錆びさせてニオイをFe系にする。緑系のルアーはフックをブロンズ製にして研ぎなおし、錆を作ってニオイをCu系にする。スルメなどを同梱すると錆びが生じやすく、人間やタバコのニオイも隠せてお得。錆び始めが食いもよい。掛かりがわるい時だけ研ぐ。