2017年2月1日水曜日

ルアーチョイス2(2003年2月BW誌)

ルアーチョイス1は見れません。この原稿の前の月である1月、なぜか書いた元原稿を無事出稿後、飛ばしてしまいました。理由は全くわかりませんが、いくつかの原稿がバックアップできておらずに消えています。なのでルアーチョイス1は2003年1月号、2月号、3月号のどれかに掲載されていて、どれかがカラーページの実釣出演記事(web転載不可記事)になるはずです。


Academic LAKE Vol.12

◎小川流(?)、釣れるルアーチョイスその2
 前回述べた『コンスタントに釣れるルアー』には、ある程度の法則があると思う。そこで、今回はその釣れるルアーについての法則性を示していきたい。

◆釣れているルアーの法則
 簡単にこんなことを言い切りのカタチで書くと絶対に怒られるのはわかっているので、「あくまで僕の目から見た釣れるルアーの共通点なので非常に偏っているかもしれない」ということをつけ加えておきたいと思う。

●違いがあるのでは?
 まず大切なのは『釣れやすいルアー』と『釣れ続くルアー』の違いを見抜くということ。『釣れやすいルアー』はスレやすいことが多い、という欠点を持っているが、集魚効果においては絶大な威力を持つ。『釣れ続くルアー』はスレにくいが、遠くの魚を寄せてくる効果が少ないものが多い。これはルアーのアクションによって単純に分けたりもできるし、その日その場の状況に応じて変化する場合もある。ルアーカラーの法則にしてもそうだ。ちなみにおおまかにミノープラグなどの動きを分けたときにはウォブリング寄りのアクションを見せるルアーが『釣れやすいルアー』であることが多く、ローリング寄りのアクションをするルアーが『釣れ続くルアー』であることが多い。もう一つわけるなら、泳ぐルアーは頭と尻を振っているのだが、この支点となる位置が前寄りのルアーのほうがスレにくい気がする。これは頭を振っている幅が原因なのではなく、おそらく尻側の水を押す力が大きくなるためだと思う。モチロン魚とルアーのレンジの差、ベイトフィッシュのアクションの違いで起きる例外もあるが、私の場合ほとんどそういうイメージで捉えている。
 『釣れ続くルアー』は魚がいるエリアのわかる人には非常に効果的なウェポンとなる。私個人はとても釣りの技術が下手なのもあってピンスポットへのキャストなどに微塵の魅力も感じない。適当に投げたなら、そこに魚のほうから飛びついてくれば、そっちのほうがオモシロイと感じているのだ。このため一尾で非常に満足することになり、釣れ続く必要もないので集魚効果のほうに重点をおいた『釣れやすいルアー』のほうを作ることになる。その分信じられないほど魚が寄りやすいルアーを作らなければならないのだが、こういう視点からキャスティークやSIN-ZOベイトが生まれたように、これにもいくつかの法則性があると考える。

●釣れやすいルアー
 ミノーで最も代表的なのはやはりラパラ・CD5だろう。誰が使っても大差なく安定した釣果を供給できるのはおそらくしっかりしたウォブリングのアクションがキーとなっていると思う。またクランクベイトにもこのタイプの名作が多く、私はビルノーマン・DD-22とダイワ・ピーナッツを特に愛用している。またここ数年で最も驚いた、このジャンルのルアーはプラドコ・スウィミンイメージというショートビルクランク(シャッド?)だ。このルアーは春先に恐ろしい釣果を誰でも出せるパワーを持っている。余談だが、クランクは潜らせてレンジに到達したら、スピードを落とし、一定のスローな速度で巻いてくるような使い方が多い。多くのクランクベイトはロッドをかなり立てて使用しているが、スウィミンイメージ使用時はショートビルのためレンジの都合もあって竿を寝かせている。ロッドの角度が釣果や釣れる魚の種類を変えてしまうこともあるので何かのご参考に。
 キャスティーク・トラウトベイトもこのジャンルに入れることができる。こんな大きいルアーに魚が寄ってくることで驚いたものだが、ルアー本体の弾力で自発的に左右に波を起こす仕組みになっているので、考えようによっては生物のような動きである。集魚効果があるのは当然なのかもしれない。

●自発的な波動
 じつは、私の思う集魚効果のひとつに、この『側方(斜め後方)への自発的(に見える)波動』というものがある。ミノーなどのプラグは、水中で曳くとリップで受けた抵抗を利用して体を左右に振りながら泳いでいるように見せる。しかし、きれいに泳いでいる一般のミノープラグはほとんど後方の水を掻き回しているだけに過ぎず、側方へはそれほど振動を伝えない。これでは水を掻き回すただの物体で、水を掻き分ける部分をリップ任せにしてしまっているので、水を押すわけではない。したがって視覚的な効果以外は望めないのだと思う。キャストが魚のいるところに正確にできる人間ならこれでも十分かもしれないが、はじめてのエリアで見当もつかないや、私のようにモノグサな人間の場合は、魚に出会うまで相当な苦労を強いられてしまうだろう。
 そこで、魚の方から寄ってくるプラグを探す(または作る)必要があるのだ。魚がついてくるルアーを総合して考えてみると、ニオイや色、反射など、他のルアーにはないなんらかの信号を発しているものだが、ミノープラグの『泳ぎ』という部分は、見えないこともあってなかなかその信号について触れられなかったのだと思う。しかし、泳ぐ魚は左右に水を掻くようにキックしている。これはただ動かされている棒と大きく異なる点だと思う。これを曲がらないミノーで再現するには無理があるというものだ。動きが多少変になるか、ラパラのように振り幅の中心軸をリア側に持っていかなくてはならないだろう。そこで懸命に私がない頭を絞って考えたルアーがザ・ナイフ7cmカウントダウンというルアーだ。このルアーはボディ形状が偏平になっているのだが、ウェイトの位置が変わっている。振り幅の中心軸はそれほど後ろではない状態で、リア下部にウェイトを配置しているのだ。これによってウォブリングで動いたテール側が、ボディが扁平なため下部がスライドするようなカタチで倒れ、慣性でボディが余分にブレたカタチで水を押してしまう…という大変わかりにくい構造を考えだしたことによって、ただ投げて巻くだけで集魚効果のある波をつくり出すことができた。この効果があったのか、公開テスト初っ端初キャストから大勢の見ている前で64cmのバスを釣ってしまったのだ。自分では予想もしていなかった結果で、しかも本当に出来過ぎた話になったので、これはマグレだと見て全然いいと思う。しかしSIN-ZOベイトも水面ジャンプテスト中に60アップに恵まれたので、何かの縁を感じずにはいられない。とりあえずその後の釣果も最初ほどのインパクトはない(笑)ものの絶好調で、魚のほうから襲ってくるため、この波動に関する読みはほぼ間違いないと考えている。

●釣れ続くルアー
 ミノーの世界ではローリング主体のものがそれに相当するのだが、リップがあるとどうしても頭と尻の振り幅の支点となる中心軸が後側へ行ってしまいがちになるので、できる限りリップレスのミノーを使い慣れたほうがスレにくく、有利であると考えている。シーバスルアーになってしまうが、アイマコモモSF125、K-TENリップレスのようなリップレスタイプのミノーは頭を支点にしているので魚の遊泳時の中心軸に近くなる。この2つのルアーに限ればラインアイも水受け面の前方へ来ているため中心軸がより前方へと来ることになる。このためスレに強く、釣れ続くことが多いルアーなのだ。バスが釣りやすいルアーにもかかわらず、『ソルト用』と書いてあるだけでシーバスにしか使わないのはもったいなさ過ぎるのではないだろうか。
 ちなみにSIN-ZOベイトの心臓リグは水面直下をスローのただ巻きで使うとこのタイプの釣れ続くルアーに早変わりする。この場合、不意なダートなどもさせてはならず、丁寧に一定層を巻くと、よい結果が出ている。




小川健太郎/25才。住所不定の車上生活者。水産学科で魚類のバイオテレメトリー(遠隔測定)を専攻したが社会の役には立っていない。365日連続釣行2クールを含む、総計3200日の釣行を就職までの11年でこなした「釣り場型ひきこもり」。シーバス色理論、池原ダムでのヤーガラ、ビッグバドなど、ごく一部のマニアの間だけで知られる。SIN-ZOベイトなどを開発。ホームページはhttp://ogaken.org