2017年1月30日月曜日

釣り場の見分け方2(2002年10月BW誌)


(写真はデジカメ時代に入ってからのものです。テラピアの養殖餌袋製バッグ。)
この原稿の少し前に編集部と話し合って、ページ数を減らしてもらったと思います。今考えてみれば普通の内容ですが、この頃はおそらくこんな初歩的なことも紙面では伝わってなかった時代だったのでしょう。なんか他の原稿見ても懸命に各紙で啓蒙してます(笑)。本当に伝えたかったことはこんなことじゃないのに、前提が違うと話が伝わらない、ということで。

話は変わりますが、今週から大阪ショー週間が始まりますね。問屋さんの売り出しと同時進行でショーの設営、ショーの業者日、と釣り業界が一番忙しくなる一週間です。この原稿を書いていた頃のショーはシーバスバブル期で、ソルトで無意味に活躍していたワタクシには、体力的に非常にツラい期間のはずでした。ところが、引退して仕事量が1/100にもなったであろう今の方がツライ。これが若さの違いなのですね…。



Academic LAKE Vol.10

◎釣れる釣り場の見分け方・その2(流れ/波立ち編)
 自分をはじめ、陸っぱりでバス釣りを楽しんでいる読者の皆様のために、『釣り場でどこを選ぶのか』の切り口を、前回からいくつか紹介している。これらの切り口はどれもが互いに相関関係を持っていることもあり、一つイイ条件を見つければ、あとの条件が附随してくることもよくある。ウイードのように好環境を見つける指標となる要素もあるので、どの要素を探して行けば魚が釣りやすくなるのかを考えてみたいと思う。


◆流れ
 水の流れは魚を探す上で重要なキーになる。流れを読み取る方法としては、地形や環境からの判断、水の色、波立ちなどさまざまな方法が存在するが、やはり危険のない範囲で泳いでみる、またはウェーディングなど、自分の身体で確かめることも重要であろう。基本的に川の流れのように一本の真直ぐな流れでも、底層、宙層、表層という順番で速くなっていくように思う。これらが水中の石などのストラクチャーや地形、高低差などによりねじ曲げられて、巻き、ヨレ、タルミなど複雑な流れを形成するのだ。流れの中でベイトを捕食する際、フィッシュイーターはこれらの流れより生まれた溝のような流れの緩むゾーンに潜むことが多い。通常岩陰などがこのゾーンに相当することが多いが、中には何の変哲もない宙層で常に変動するゾーンであることもある。こういった場合は波立ち方を注意しながら見て探すほかはなく、トラウトの本流釣りや川のシーバス釣りなど多くの経験が必要になる。この手の波の水面への変化の出方はまた機会があれば説明したい。
 流れのある釣り場では、魚が流れのどの位置についているかが重要になることが多い。流心を中心にその脇の流れの中、淵などの深場、流れのないわんどと、様々な場所に着く可能性がある。一般的には温度が高い夏の昼は流心、寒い冬は深場が狙い目で、春秋はベイトの条件がエビなのか小魚なのかで変わってくるようだ。ちなみに小魚がベイトの時は流心の脇の流れに着いていることが多く、ミノーやノーシンカーワームなどを横切らせて釣ることになる。このとき、流れに対してどう投げるか、どう横切らせるかで釣れる魚のサイズが変わってくる。キーは糸のタルミかただと考えているのだが、これは長くなりそうなので先ほどの波の変化とあわせてまた今度ご紹介したいと思う。

◆波立ち
 波の立ち方は流れや底質の変化の他に、水質や水温の変化、風を乱すような障害物によっても大きな変化が現れやすい。障害物は風が当たらない部分を作るので、水面にはポッカリと波立ちのない部分が形成される。ラインを風に乱されないようにしたい場合や、水面をすすむラインであたりをとる際に利用しやすい。水質や水温で起きる波立ちの変化は釣れるというより釣れにくくなる可能性をもっている。
 例えばターンオーバーが起きはじめたとき、起きていないエリアと起きているエリアで波の立ち方に違いが生じたら、起きていないエリアへと移動して難を逃れることができる。また、風が岸から吹くことによって水面の水が沖へ押し出され(吹送流)、押し出された分の補流として岸側の低層の水が湧昇してくる現象のときも釣れにくいことが多い。このように通常底から来た水は低温なので急にこれが起きるとそのエリアは活性が下がる可能性が高いのだ。この場合は、風が吹いているのも関わらず、岸側の水面の一部がぺったりとしていたりするので見つけやすい。陸っぱりなら風上側になるときに生じることが多いので要注意。
 この他、河口域での塩分濃度の違いから起きるものや、流れ込みの温度変化などから起きるものもあり、場合によってはこの境目に沿って魚が回遊することも考えられる。スモールマウスバスやフロリダバス(秋のバックウォーターなど)では、こういう波の差異が起きる境目を、小魚を意識したルアーで通してくるパターンも存在し、どう猛なバスの姿を見ることが多い。

◆方角
 海の場合大きなキーとなりうる「方角」だが、淡水ではあまり気にされることが少ない。季節が冬から春の季節であれば、暖かい南風の影響によって、方角の要素は格段に影響が大きくなる。(←秘密にしていたことがあり、掲載時に省略)日本という国での太陽は南側中心に出ているので北の方角に向かって『温度』と『シェード』ができやすい。夏と冬はときどきこのようにして方角を考えることがある。また、バスプロの方には風向きと方角による釣果への影響に詳しい人が多いようなので、ガイドサービスなどを受ける際に学ぶことで、現場と直結して考えることができると思う。

◆植物、植生
 植物は水上水中に関わらず、魚やエサの着く場所である以外に、生えている植物によってそのエリアの水温傾向を教えてくれたり、水質の安定を約束してくれたりとメリットが大きい。また、植物は、生えているということだけでそのエリアが好条件を満たしている可能性を示唆しており、植物を知れば釣りには大きく役立つことは間違いない。しかし、以前の連載でご紹介した通り水中の植物となるウィードの資料が少ないため、プロの釣り人でもこのジャンルに詳しい人は少ない(機会があればまた紹介したいと思うので編集部までリクエストして下さい)。


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小川健太郎/25才。住所不定の車上生活者。水産学科で魚類のバイオテレメトリー(遠隔測定)を専攻したが社会の役には立っていない。365日連続釣行2クールを含む、総計3200日の釣行を就職までの11年でこなした「釣り場型ひきこもり」。シーバス色理論、池原ダムでのヤーガラ、ビッグバドなど、ごく一部のマニアの間だけで知られる。SIN-ZOベイトなどを開発。ホームページはhttp://ogaken.org