2017年1月4日水曜日

特集:さあ、トラウト。(2000年初頭原稿)

テキストデータ化されている中で、最も古い原稿の一つ。掲載が2000年、書いたのが1999年の原稿です。
その頃は管理釣り場は一般的ではなく、フライとスプーン、スピナー、渓流ミノー(フローティング)がメインでした。

列挙されたルアーについてですが、出版社の記事ですので当時の広告優先になってます。あしからずご了承ください。これの何年か前のマイクロプラグ記事は広告関係なく長所と短所書きまくって、すんげー怒られました。(そのまま発行した編集部もどうかと思うけど)


特集:さあ、トラウト。(2000年初頭)
もっとススんだマイクロプラグ・ゲーム

小さい魚から大きい魚までいっぺんに虜にしてしまう、魔法のプラグたち。

text by 小川健太郎(本誌)

●ヴァーサタイル・フィッシャーマンに捧ぐ
 マイクロプラグと聞くと、期待で胸の中がなんだかウズウズしてくる。小さなボックスにぎっしりとマイクロプラグを詰め込んでいる。そんなアナタに送りたいのが今回の特集だ。この小さなルアーの世界は、ルアーを取り巻く技術の急激な進歩により、大きな世界に変わろうとしている。飛距離の向上はもちろん、流れ、ディープエリア、そしてピンスポットでもがくアクションといろいろなシチュエーションに対応できる、まさに「カユイ所に手が届くゲーム」となったのだ。また、最近人気沸騰中のトラウト管理釣り場でも、こういったプラグならバス釣りの道具やテクニックを簡単に応用できる。さらにメッキやシーバス、メバルなど、海のゲームフィッシュまでバンバン応用できる上、とんでもない大物が掛かる可能性まで秘めている。海から渓流まで釣り通すヴァーサタイル・フィッシャーマンにとってまさに『魔法の釣り道具』なのだ!

●プラグは漂遊漁具である
 トラウトの管理釣り場では、活性に応じてリトリーブスピードをどんどんスローにする必要がある。ひとくちにスローと言っても様々で、流れの強い釣り場でのスローなスピードが、止水エリアではファストリトリーブになりうる。特にコレという基準を持たないのだが、目安をあげるとすれば、「そのルアーが水を噛んで動く、限界の遅さ」がキモとなる場合が多い(これはマイクロプラグに限らずルアー釣り全般にも共通して言えることだが)。このときメタルルアーでは手返しが速くなってしまい、水中に漂わせて食わせるような釣りが非常に難しい。まさにプラグの独壇場になってしまうのだ。

●トウィッチ、ただ巻きの考察
 よくトウィッチが釣れる、という時はあるが、長く管理釣り場のトラウトをやっていると「メッタヤタラにするものではない」という結論に達する。魚というか、群れ全体がスレるのが早いのだ。逆に、ただ巻きの場合、どうしても人間が見た目で「泳いでいる」スピードをくり返してしまい、イマイチ釣れない、という結果になりかねない。トラウト釣りに限ったことではないが、基本はただ巻きである。トラウトは動くか動かないかのスローから、アクションが止まるか止まらないかのギリギリのデッドスロースピードがお気に召すらしい。まずそういったスロースピードを極めることが大切で、ただ巻いてくるだけでも、水に流されてコースが変わったり石に当ったり、といった具合に、イレギュラーな動きに変わる要素はいくらでもあるのだ。トウィッチというのは自発的にイレギュラーな動きを出すということで、何もない場所でするとなると、行為自体はわりと不自然なものとなる。ここがスレる原因となるのではないだろうか。できれば岩影や、流れのヨレなど、プラスアルファがある場所でバンバン使用したいテクニックだ。

◎魚か、虫か。それが重要。
●ルアーを見る視点をちょっと変えてみる
 ルアーの表現する動きには大きくわけて2種類ある。魚か、虫かである。『魚』とは見た目の通り魚の動きを体現できるもの。『虫』とは水中のエビ、カゲロウの幼虫や、陸上の羽虫、クモなど無脊椎動物、そして「変な動き」のルアー(カエルなども含む)はだいたい虫のジャンルとして考えている。もうひとつ突っ込んで説明すれば、『魚』は水平面の動きや頭よりもボディ全体に水を受け流して泳ぐもの、『虫』は縦の動きや頭をブルブル震わせるもの、である。こう考えていくと、通常ミノープラグで魚のイミテートとして販売されているルアーの中にも「虫系」の動きになってしまうものがあるのだ。

●『魚』のルアーと『虫』のルアー
 ルアーのジャンルでいうとどういう分け方になるのだろうか。キモは「頭の動きが大きいか、小さいか」である。魚というのは、頭の動きが小さく、シッポを振ったりエラからの排水でスラーッと泳ぐ。この動きのできるルアーというのは実はそうそうない。スリムなローリング系ミノー、トウィッチャー(スティックベイトのような動きのルアー)、ジグ、ジグミノー、バイブレーション、スピナーベイト、スライドするペンシルベイト。アクションでは水平スライド、トゥイッチでみせるイレギュラーダートが『魚』の動きである。
 『虫』の動きはというとこれが様々あって、クランクベイト、首振りペンシル、ノイジー&ポッパー、ウォブリング系ミノー、ラバージグ。アクションでは底のズル引き、ウォブル、水面でのモゾモゾした動きである。もちろんエビやヤゴなどスラッと動く生物も多いので、一概に決めつけるものではないが、ルアーの、魚から見たルアーの動きの一説として、頭に置いていただければ幸いである。
 各ルアーのアクションがわかれば、それらが効力を発揮する釣り方が見えてくる。では、『魚』、『虫』としてターゲットに見せるには、どうすればよいのだろうか。

●『魚』の動きはアウト→イン釣法で攻める
 魚系のルアーによる、効果的な釣り方というのは魚の行動を再現することがキモだ。これはゲームフィッシュの食欲に訴える魚の動き、すなわち「フィーディングゾーンの外から中へ入る」というものだ。例えばシェードや流れ込みなどポイントとして目に見えているものや、水中のストラクチャーなどから、目に見えないような水のヨレなどにいたるまで、「ここで食う」というような場所がある。そういった場所の中へ外から泳がせてくる時にヒットを誘う、というのが『魚』の動きなのだ。ヒットゾーンのやや向こう側にキャストして狙うとよい。また、泳いでくる小魚を待ちかまえるフィッシュイーターは下から、回遊のフィッシュイーターは真横から獲物を襲うので頭や腹を目標にしている。従ってほとんど腹側のフックに掛かっているものが多いのも特徴。魚がエサを食べたい時間に効率良く使える釣り方である。

●『虫』の動きはイン→アウト釣法で逃げる
 『虫』の動きはというと、通常ストラクチャーそのものに棲んでいて、そこからモソモソ出てきたり、オーバーハングした木から真下に落ちて流れていったりと、「フィーディングゾーンの中から外へ出る」傾向が強い。そういった瞬間に追いかけるように食う場合が多いのだ。チョコマカとピンスポット狙いのものや動きがブルブルと大きく、移動距離が少ないものが多いのは、この逃げる動作を長くとるためと考えるとアクションさせやすい。キャストはシェードやストラクチャー直撃で、アクションさせながらその場を離れていこうとするとヒットする。また、通常『虫』は魚のように素早く自分の判断で逃げる方法を持たない。獲物が「流れ」や「遊泳」などなにがしかのスピードを持っている時には、ゆっくり追いかけて食うのがマスの特徴なので、リアフックに掛かるものが多いのだ。他に、怒りで排除行動に出る魚も、追いかけて口を使うのでリアフックに掛かる。捕食か、興奮か。魚の気分を見抜くことができれば、よりよい釣果へつながるはずだ。

●『虫』食う魚、『魚』食う魚
 では、虫や魚は使い分けることによってどういう効果がでてくるのだろうか。エサを食う状況を考えてみよう。小魚がエサだとすると、目標は「逃げるエサ」ということになる。逆に虫がエサだとすれば目標は「逃げない(逃げにくい)エサ」ということになる。おおまかにいうと、活性が高い時間ほど魚を追いかけて捕食することになるし、活性が低ければ虫のようなエサが「あれば食うけど」という状態になりやすい。また、虫のエサが多い季節、場所では活性が高いときには虫をたくさん食べるし、逆に季節が寒い季節であれば虫もいないので、朝夕の活性の高い時間に小魚を追い回して(または待ち伏せて)効率良く捕食している。また、今回はあまり触れないがエサや習性による魚種や大きさの釣り分けも可能だ。


◎各ルアーのアクション
◇トップウォーター
 最近様々なメーカーからマスに対応したトップウォーターが出ている。管理釣り場で常に有効なルアーというわけではないが爆発する要素もあり、当然「釣れた時の嬉しさ」は他のルアーをはるかにしのぐ。動きはほとんどすべての商品が『虫』のアクションとなっている。

●エルフィン・プラティ(4.5cm,2.1g):管理釣り場のみならず、様々なシチュエーションに対応できるペンシルで、このサイズのなかで一番動きが大きい。バスマンにも馴染みやすいアクション。(タックルハウス)
●チョコペン(4cm,2.5g):お腹が広くなっておりそれ自体がブレーキになる。糸フケを操作して一ケ所をチョコマカと攻めるのに最適で、ただ巻きでも左右に体をプルプルとスウィングする。(スカジットデザインズ)
●トリックトラウト・シケイダー(4cm,4.5g):フニャッと柔らかい羽根を持つティムコの新作。着水音が極めてソフトなばかりでなく、静かに波紋だけを出す、波紋マスター。(ティムコ)
●トリックトラウト・ノイジー(3.5cm,3.5g):バスでは「卑怯」とまでいわれたこのサイズ。水に粘り着くようなアクションが乾いたラトル音とあいまって魚を刺激する。(ティムコ)


◇ミノー(ショートリップ)
 クランクベイトでも、細身で短いリップが付いているものを今回は「ミノー」とした。動きは、クランクベイトのようにブルブル泳ぐウォブリングタイプのものと、グリグリと体をよじりながら泳ぐローリングタイプに分かれる。大きく頭を振ってしまうウォブリングは『虫』、タイトなウォブリングやローリングは『魚』の動きに近い。

●ベビーミノー45(4.5cm,2.7g,サスペンド):管理釣り場では止水域でのトウィッチングに多用され、実績を上げている。シンキングモデルのデッドスローリトリーブもよく、フルッ…フルッ…という動きで誘う。(ラッキークラフト)
●ハンプバックミノー50(5.0cm,3.2g,サスペンド):流れに強いベビーミノーということで登場しただけあって、早巻きにも完全対応している。海から川まで万能ミノーとして常備したい。(ラッキークラフト)
●シュガーミノー():僕の愛用するこのカラー、フルグアニクションシルバーの光りは遠くからも魚を呼び寄せてきてしまう。流れにも強く、5cmサイズからはシンキングもラインナップ。(バスディ)
●X-30(3.3cm,1.5g,シンキング):トウィッチング・ベイトの中では細小かもしれない。トウィッチの連続で、体全体でグリッと動き、ピタッと止まるアクションマスでバスもイチコロだ。(メガバス)
●ルイスクリークミノーF(5cm,2g,フローティング):スローに巻いて、止める。浮き上がりそうになったらまたスローに巻く。この浮くか否かの危なっかしいスピードでのアクションがこのルアーのキモだ。(ケンクラフト)
●ルイスクリークミノーSP(5cm,2g,サスペンド):リップの、横に水を逃しにくい微妙な形状により、このルアーの超高速連続トウィッチがなぜか海の魚にも異常に効く。この形状でこの動きはすごい。(ケンクラフト)
●ブルックシャイナー(5cm,2g,フローティング):ミディアム〜スローのただ巻きでゆったりとしたローリングを見せる。このちょうどよいスピードを見つけたら、そこへトウィッチを混ぜて使うとよい。(ケンクラフト)
●ラパラF-3(3cm,2g,フローティング):名作でかつ元祖マイクロミノー。使い慣れた方はグリグリッグリグリッと、ただただ巻くだけ。慣れてない方にはスローに巻くのがオススメ。(ラパラジャパン)
●ラパラCD-3(3cm,4g,シンキング):こちらは通称「エサ」といわれるプラグ。スローからファストで、虫の動きから魚の動き。マイクロプラグをマスターするには、まずこのルアーで100匹釣ってから。(ラパラジャパン)
●ピンズミノー(5cm,2g,フローティング):この驚くほど細いシェイプが、本当によく釣れる。僕がこのミノーで釣った魚食魚15種類に聞いたところ、どうも小魚を模したミノーのなかでは、一番魚に近いらしい。(デュエル)
●ルナ(4.7cm,2.3g,シンキング):シェイクスピード・コントロールミノーといえるほど、速度による動きの変化が大きい。いつでもどこでもトウィッチングマシーンと化した方に一番ピッタリの、釣れるミノーだ。メッキにもオススメ。(スミス)
●ICミノー(1インチ,フローティング):このルアーの登場がマイクロミノーを大きく変えた。動きがしっかり出せるというのはやはり強い。トップでも有効で、水に落ちた虫をイメージするとよい。(スミス)
●チップミノー(4cm,フローティング):渓流のミノーイングを確立した、元祖ルアー。このサイズで確実に泳ぐことを達成し、サスペンド釣法というダウンストリームの攻めを可能にした。(スカジットデザインズ)
●マイティペッパー35(3.5cm,1.8g,サスペンド):バスマンにも愛用者が多いスーパールアー。ローリングアクションの中で早巻きできる最小のミノーであり、河口から渓流まで汎用性も高い。(ティムコ)
●エルフィン・グラスホッパー(4cm,2.4g,サスペンド):サスペンド・ミノーということは、昆虫だけを模したわけではない。トウィッチング時に透明素材の織り成す光の屈折は魚の生命感を表現している。(タックルハウス)


◇ロングビルミノー、シャッドルアー
 このタイプのルアーはボディのわりに潜るというところが特徴で、せいぜい1.5mほどの深さである標準的な管理釣り場では非常に重宝する。一般的な使い方は速めに巻いて潜らせ、最大潜行深度で超デッドスローリトリーブをキープする、という方法が有効である。この場合クランクベイトと同様に『虫』のアクションとなる。『魚』の動きを表現するなら速いアクションが有効である。バランスのよいルアーを、流れに対してダウンストリームで使う逆引き、そしてバランスを崩しやすいタイプは連続トウィッチングに非常に向いているので、流れに弱いルアーはぜひ試していただきたい。

●ベビーシャッド50(5cm,3.5g,サスペンド):バスマンのボックスに必ずあり、管理釣り場で使うのに適したルアー、といえばコレである。やたらトウィッチングする人が多いが、デッドスローの方が釣れると思う。(ラッキークラフト)
●ミラシャッド50(5cm,4g,サスペンド):キッチリしたアクションをみせるバス用シャッドプラグ。管理釣り場では止水域のボトムノック&ポーズで大物を狙うのに使用。ブラウンに有効。(カルティバ)
●トラッパー5(5cm,3.3g,サスペンド):こちらはトウィッチング・シャッドだ。ストップ&ゴーならぬ、ストップ&トウィッチで宙層をかき回し、ボトムに潜む巨大魚をおびき出す力がある。(ケンクラフト)
●LIVE-Xスモルト(4.8cm,3.5g,サスペンド):浮き上がりにくさを利用して、竿を立てて表層で高速連続トウィッチして爆釣した経験があるが、本来の使い方はボトムノック&ヒラ打ちであろう。スローから早引きまでバッチリ。(メガバス)
●ラピッド45DF(4.5cm,フローティング):僕は最近イワナ釣りでよく使うようになった。動きは虫系の大きめのウォブリングでありながら、ボディのバランスがよいので狙ったコースを通しやすい。(アングラーズ・リパブリック)
●ダイビングビートル(4cm,2.3g,サスペンド):高速でも気持ち悪いくらい足下まできっちり泳ぐルアー。すなわち激流の中でも全然平気。ブリブリ泳ぎ過ぎるので、ポーズを織りまぜた方がよい。(スカジットデザインズ)
●エルフィン・シュリンプ(4.5cm,3.4g,シンキング):ゆったりとしたアクションが印象的。スローシンキングなので流れに強い。竿を立てて引っ張るようなトウィッチでよく釣れる。(タックルハウス)
●ピグラ(4cm,3g,シンキング):リップ可変の怪獣ルアー。シンキングなので、深い釣り場、大きい釣り場には必ず持参したい。淵での使用も有効でミディアムスローリトリーブやトウィッチがよい。(スポーツザウルス)


◇クランクベイト
 今回は割と潜るタイプのものをクランクベイトとしている。ようやく最近管理釣り場や河川のトラウトで一般的に使われるようになった。昔からよく使う人は多かったが、バス用のものを流用していたので、トラウトマンに白い目で見られたタイプのルアーだ。淡水のマス類はこういう丸いシェイプに興奮を示すようで、よくエラを開いて怒って追いかけてくる。基本的に『虫』の属性と考え、ゆっくり巻くのがコツ。

●ベビークランク45SR(4.5cm,4.8g,フローティング):管理釣り場でクランク、という常識を打ち立てた金字塔的ルアー。とにかくデカイやつが数釣れる。スローリトリーブを忠実にくり返す。白系はブラウンにも有効。(ラッキークラフト)
●デメタシャロー50(4.8cm ,6.5g,フローティング):バス用シャロークランクだが、岸近くの岩に潜む大型ブラウン狙いによい。一番深く潜るスピードの中で一番スローなスピードをキープする。(カルティバ)
●ピーウィースライマー(3cm,2.5g,フローティング):リトリーブもよいが、水面付近でトップ的に連続トウィッチすると、だだをこねる子供のような“イヤイヤ”アクションを演出する。ピンスポット狙いによい。(ケンクラフト)
●ピーウィースライマーディープ(3cm,2.5g,フローティング):こちらは潜らせて、ピンスポットを直撃。フィーディングゾーン上に到達したらシェイク開始で、フィーディングゾーンから離れる間際に食わせる。(ケンクラフト)
●ミニファットラップ3(3cm,4g,シンキング):高速安定性がよいのでグリグリ巻いて、止めるストップ&ゴーなど色々な巻きワザが使える。飛距離も出るので活性をチェックする時にお薦め。(ラパラジャパン)
●アイルゴビィ(3cm,2.5g,シンキング):シンキングでバリバリ潜る上、シッポのヒラヒラが思っているより強くアピールしている。バスクランク的なスピードで巻いて使えるので、かなり使いやすい。(デュエル)
●アイルキリフィッシュ(3cm,2g,フローティング):トウィッチ時のアピールが強い。デッドスローだとあまり潜らないので、バジングのようにシッポで水面をかき回すという荒技もこなす。(デュエル)
●カミオンSR():期待の新製品。このリップの小ささはおそらく、潜るためというよりはこの太いボディをよじらせるためのもの。スローリトリーブでの釣果が楽しみだ。(スミス)
●トリックトラウト・クランク35F(3.5cm,2.4g):水の流れがない場所での爆発大将。潜らせて、超スローをキープ。ラインアイが曲がっても、手でなおせるほど柔らかいのでこまめにチェックしよう。(ティムコ)
●トリックトラウト・クランク40F(4cm,フローティング):待望の大型用が登場。こちらは安定性が強いので弱い流れでも使える。イトウや大型マス狙いから湖のネイティブ狙いまでOK。でも、バスにもよさそう…。(ティムコ)
●トリックトラウト・ファットミノー(4cm,3g,フローティング):シャロークランクとして使用するモデル。変な格好でも釣果は抜群。カラーバリエーションも大型の見えマス狙いをよく知る人が考えているのでは?(ティムコ)
●トリックトラウト・サーフェスクランク(3.5cm,3.5g,フローティング):こちらは新作でトップからサブサーフェスまでのエリアをこなす。ファットミノーとは異なり、テイル側に浮力をもたせて緩慢な動きによるアピールを強調する。(ティムコ)
●バグミノー20SR(2cm,0.8g,フローティング):とにかく小さければよい、という釣り人のワガママが具現化した商品。思ったより飛距離もあり、「そりゃあ、釣れるわ…」と絶句してしまう逸品。(アングラーズ・リパブリック)
●バグミノー20MR(2cm,0.9g,フローティング):こちらは潜る版。いまにも水に消え入りそうな動きながら、懸命に泳いでいる。攻めの釣りが好きな人には最終兵器ともなりうる。(アングラーズ・リパブリック)
●バグミノー25SR(2.5cm,1.3g,フローティング):このサイズだと泳ぎも手元に分かりやすい。ピンスポットでのシェイクがおすすめで、身をひるがえすようにネチネチ踊り続ける。(アングラーズ・リパブリック)
●バグミノー25MR(2.5cm,1.6g,フローティング):こちらは虫というより魚のような動き。安定性が高く、足場の高い釣り場やダウンストリームの逆引きにもお薦め。(アングラーズ・リパブリック)
●ノリーズ・ショット(4.5cm,5g,フローティング):ワーミングクランクということでタイトなアクションを目的としている。大物狙いや、ブラウン狙いに愛用するファンが多い。ハリ絡みに注意。(ティファ)
●コクーン(3.5cm,2.5g,フローティング):そのまんま、イモムシである。バスの人にファンが多く、レスポンスのよいブリブリとしたアクション。起毛バージョンもあり、かなりのこだわりを感じる。(ティファ)
●ダイビング・コクーン(3.5cm,2.5g,フローティング):アピールの強いミノーとして使用するのがオススメで、放流直後のマスへ、トウィッチで食わせるのに最適。スプリットリングの連結フックで追い食いに対応している。(ティファ)
●チビラビット(4.5cm,2g,フローティング):バスのシャローゲームでは有名になってしまったラビットシリーズだが、じつは管理釣り場でもその効力を発揮する。バスと同じくゆっくり巻くだけだ。(ウッディべル)
●エルフィン・シケイダー(3.8cm,2.6g,フローティング):平たいボディが水面をかきまぜるようなアクションを起こす。ゆったりした釣りに向きそうだが、水面シェイクなどの騒々しい釣りも得意なルアーだ。(タックルハウス)


◇バイブレーション、他
 バイブレーションは芦ノ湖など、とにかく広いエリアや止水の深いエリアを探るとき、非常に手返しがよい。根掛かりが多いのが難点だが、スプーンをスローに巻くのに慣れない人にも使いやすい。
 ジグミノー、他に関しては、新しい分野ともいえるこれらのルアーだが、従来のミノープラグでより『魚』の動きに近付いたプラグといえるだろう。もちろんベイトフィッシュそのものに近いシェイプ、アクションでトラウト以外の魚を釣ることにかけても天才的だ。反面、「使い方が分からない」という声をよく聞くタイプであることも確かだ。ただ巻いただけでは、目に見える動きが小さいからかもしれない。ただ巻きで釣れる気がしない人には「ペンシルベイトを動かすような要領」というのがコツだろうか。スロー、ファスト共に魚に近いアクションを見せる。

●ベビーバイブレーション(4cm,3.5g,シンキング):サイレントモデルを、最近止水の管理釣り場や湖で使う人が多い。超スローというより、底を引きずるリトリーブが効く。釣りすぎと根掛かりには要注意。(ラッキークラフト)
●ベビーバイブレーション50SP(5cm,4.3g,サスペンド):お腹の方が膨らんで、動きはややタイトになっている。このサスペンドモデルはジャーク&ポーズが有効で、大型トラウトがよく釣れる。(ラッキークラフト)
●ピーウィー・グラミー(4cm,3g,サスペンド):バイブレーションに見えるが、どちらかというとクランクベイトのような、ソフトにボディを揺らすアクションを見せる。(ケンクラフト)
●ビブラックス・ミノースピン(5cm,4g,シンキング):これはもう、完全なスピナーである。回りはじめが異常に早いので誰にでもアップストリームでスピンさせられる。朝イチのチェックから深場まで幅広く使える。(ラパラジャパン)
●アイル・モードTC(5cm,2.3g,サスペンド):一匹釣るまで使い方がわからないプラグかもしれない。これはトウィッチャーとして作られているので、糸フケをピシッと張るようなトウィッチを連続させるとよい。(デュエル)
●トラウティンサージャー(4cm,3g,シンキング):ワームいらずとしてバスで親しまれているルアーだ。トラウト狙いでは、フリーフォールだと動き過ぎるのでカーブフォール&スローリトリーブ、トウィッチがお薦め。(スミス)
●ICサージャー(1インチ,シンキング):メッキ釣りでの爆釣アイテム。トラウトでは着水後一瞬で食わせることができる。キモはキャスト時のスキッピングで、フォールはなるべくとらずにトウィッチで回収するとよい。(スミス)
●ICバイブ(1インチ,シンキング):サイレントタイプのバイブレーション。パッケージから出して手にとると、あらためてその小ささを実感する。シンキングで飛距離もあり、動きも小刻みでバッチリ。(スミス)
●オシアバイブ(5cm,6g,シンキング):湖など完全なディープエリア対応。海用で重いので、スローアクションよりリフト&フォールなどトリッキーなアクションでのヒラ打ちで誘う方がよい。(シマノ)
●スーパージミー(5cm,5g,シンキング):ジグミノーであり、トウィッチャーであるこのルアーは、操作をマスターすれば表層から底まで好きなゾーンを自在に攻略できる。張りのあるロッドを選ぼう。(ベルズ)
●バタフィー(3cm,1.5g,シンキング):このルアーには度肝を抜かれた方も多いだろう。とにかく虫のような縦の動き、ヒラヒラと光る魚のような輝き。流れの中のブラウントラウトやイワナにメチャ効果的。(スポーツザウルス)
●プリラ(3.5cm,4g,シンキング):バタフィーより沈みが早く、深場、湖攻略用として登場したクリオネ野郎。スローに巻くだけだが、ロッドをあおると慌てた魚のように上昇する。数を釣りやすいルアーだ。(スポーツザウルス)

2017年1月2日月曜日

現場の空論4リフトとフォール(2002年9月未公開)

新年あけましておめでとうございます。
過去の原稿を触っているので、時間感覚が(笑)
今年はいい年になりますように。
そう願う前に、ワタクシは今手元にある小さな幸せを噛みしめることにしています。
きっと全部いい年だったかもしれません。携帯で相手に直接電話できるし、相手の顔もみれる。当たり前の電気、下水道だってあること自体幸せですもんね。

現場の空論
※Sport & Fishing NEWS 2002年の初校原稿です。
第4回(未公開)

text by小川健太郎
〜好き勝手書くのでアテにしないでね

落ちるものは食う、昇るものにはジャレるのではないか、の巻き

リード
 答えを探す過程で必ず通らなければならない「仮説」。釣りというのはこの仮説を実証させることの連続であり、この探究心への深い情熱こそ、ハマってしまう諸悪の根源なのだ。わかったところでなんの人生の役に立つわけではない、数々の仮説。当ページは、この無駄な知識に人生をかける男の物語である。

●ジギングの不思議
 着底ヒット。ジギングでドキドキしながらジグを送り込み、底に着いたか着かずかのうちにヒットしていることがある。これは間違いなくジグが落ちているときに食ったものだが、釣れた魚を見ると、そのヒットした群れの中でも大型であった、ということが非常に多い気がする。これは「落ちるものに反応するのが大型個体?」ということがいいたいのではない。いいたいのは、大型個体はエサを追い掛けまわさないことでカロリー消費を抑えているのではないか、ということだ。つまりこれら落ちるルアーを襲う魚たちはルアーをエサだと判断している可能性が高いのだ。今さら何を…とおっしゃる方もおられるかと思うが、じつはバスやトラウトなどの多くのゲームフィッシュはルアーをエサだと思って捕食しているのではなさそうなのである。もしこれをエサだ、とだけ思って捕食しているなら、ルアーが相当するベイトに対してとる行動と同じ行動を、ルアーに対してもとるはずなのである。しかし、水槽でも現場でも、まったく同じ捕食動作はなかなかとられない。しかも食おうと思っているのなら、ルアーに対して自らの体色をくっきり見せるように変化させて食いつく必要もないはずである。ほかにもエネルギー効率なら、たかだかジグのサイズのエサを30kgもあるようなカンパチが執拗に追い回すことも考えにくい。

●昇るものには小さい魚がジャレてくる!?
 シーバスやバスで、バイブレーションのリフト&フォールの釣りがある。これはプール規模の水槽実験でも見られる行動だが、リフトしている(持ち上げている)最中のルアーに食いつくのは小型の個体が多い。捕食もあるかもしれないが、追い回すだけのものが多い。バイブレーションに限らず小型のジグやジグミノーでも同じような反応が見られる。逆にルアーを落としてやると、追い回していた小型の魚はいなくなってしまい、いつのまにか下の方に大型個体がいて、ルアーが口の中に入っている。大きい個体は動き回っていないし、ジャレてはこないのだ。季節を問わずにこのような反応が見られるところを見ると、やはりこういう習性があるのではないか、という推論がなされてくる。

●落ちるものと昇るものの空論
 魚になった視点から妄想してみるとこうかもしれない。まず肉食動物には逃げていくものを追ってしまう性質がある。ネコでも魚でも、小さい個体ほどこの状態に陥りやすいのだが、この状態になっていると対象物にはジャレつくことが増えて、対象物がおとなしくなってしまうと魅力が半減するのか相手にしなくなる。逆に大きな個体は対象物を追い回すことをせず、待ち伏せや、急にスピードをあげたりと、突発的な動きをする個体が多い。このとき、大型個体が待っているのは対象物が見せる『スキ』である。
 では、泳ぐものにとって、攻撃や捕食の対象となる生物が上へ上がるという行為はどういう状態だろうか。上へ上がろうとしている対象はその先の動きが空気世界へ向いている分、捕らえるのが非常に困難になる。コイのように下向きで、かつ大きい口を持っているなら話は別だが、ほとんどのフィッシュイーターは上向きで下あごでエサを受け取るような口の形状をしている。このような口では、上向きに進むものを口に捕らえること自体、理論上は難しいことになってしまう。このため魚は逃げまどうときに上に向かうということも考えられる。
 攻撃や捕食の対象となる生物が下向きに進む場合はどうだろう。下向きに落ちる条件とは、もともと下のほうで生活していた魚が、なんらかの理由で上に昇っていて下へ戻ったか、上空に危険を感じたかしか考えにくい。肉食魚としては、口の構造上受け止めやすいエサかもしれないが、逆にめったにないシチュエーションとなる。しかし、突発的にしか動きたくない魚にとって落ちる一瞬は食うチャンスなのだ。また、死にそうな魚が泳げなくて落ちるという状態も考えられる。普段自発的に魚を追って捕食している肉食魚たちにとって、こうした「落ちるエサ」というのは、願ってもない幸運なのではないだろうか。

 と、まあ、こんなことを考えていても実際よくわからない。発信機の心拍を見ればすぐに判明することなので、個人的にはカタがついている。最近、大学のブラックバスで続きを調べてみようと思ったのだが、実験個体が次々と謎の変死を遂げてしまった。ようやく発信機をつけてもエサを捕食できるようになっていたのに、非常に残念。死後これらの水槽に魚をいれてみると、どの水槽も金魚やブルーギルすら死に絶えてしまう。酸素も十分となると、なんらかの毒素が原因と考えられ、一説には大学内のバス駆除派の謀略とみられている(笑)。

2016年12月30日金曜日

現場の空論3落ち鮎(2002年8月)

現場の空論は「ウケたら続けよう」と萱間編集長がおっしゃったので、三回ほど頑張ってみました。幻の4回目はボツでした。

※Sport & Fishing NEWS 2002年の初校原稿です。

現場の空論〜episode3
超現場編・落ち鮎パターンで爆釣せよ!!

好き勝手書くのでアテにしないでね!
text by小川健太郎
社会の役に立たないことなら妙に頑張れる25歳。車在住。


●落ち鮎パターンとは
 毎年10月にもなると産卵を終えたとみられる、色付いたアユが、力尽きたのか川の上流からフワフワと流れてくる。これを落ち鮎というそうだ。シーバスやバス、トラウトをはじめとするフィッシュイーターはココゾ!とばかりにこれらのアユを捕食し、腹がパンパンになるまで食べ続けるのだ。当然このアユを意識したルアーアクションを理解すれば大爆釣することになり、このパターンこそが「落ち鮎パターン」といわれる。

●魚の着き場
 落ち鮎パターンでは『流れてくるアユが溜まりやすいエリア』が好スポットとなる。流れの本流があればその脇、よどみ、障害物の影など。川を大きくみれば海との境界である河口や、ダムとの境界となるバックウォーター、魚道の出口などがその好漁場ということになる。魚になって考えてみれば、餌が降ってくるわけだから少しでも上流に上っていきたいという競争になる。したがって流れが水の大きな溜まりに消し込むあたりには沢山のフィッシュイーターどもがウゴメいている計算になるのだ。

●流れに対するアプローチ
 流れの中の釣りとなると、夏でもないかぎり魚は流れに対して真っ向勝負を挑まない。やや流れが緩んだエリアを点々としながら、流れのポケットにエサが舞い込んでくるのを待っているという個体が非常に多いのだ。当然ピンスポットの好漁場には少数の大型の個体、だだっ広い好漁場には沢山の中型の個体が着きやすい。したがって流れが緩むシャローエリアでは沢山釣れるがサイズがパッとしない…と今まではそう考えていたし、そういう結果を伴っていたのである。

●ルアーアクション
 メインのアクションはドリフティング。流れに対してこちらからリーリングして泳がせることなく、ただ流れに乗ってアクションするだけにとどめるスローリトリーブである。対岸に投げれば流れに乗って扇形に手前岸に漂着するような格好で、流れの緩むエリアなどでルアーが勝手にふらついたり漂ったりするほうが落ち鮎らしい…と、これまたよく釣れるのでそう解釈していた。当然この先もこの方法で釣れることは間違いないのだが…。

●ルアー
 ルアーは主にミノーが主体となる。日によってサイズやレンジ、カラーが重要になることがあるのだが、基本的なドリフトができればトップやワームなど様々なルアーでも釣果を出すことが出来る。愛用ルアーは表層にアイマコモモSF125、宙層にウェイビー85Sという、どちらも流れの変化に対応して身を翻したり、ふらついたりという、突然イレギュラーな動きを見せるルアー。これに加えて、LV200でボトム付近を手堅くカバーするのが私の常套手段であった。これに今年発売したWスウィッシャーであるラッキークラフトのスプラッシュテイル、アイマサスケ90SS-壱(固定重心)の両ルアーを手に入れたため、オイシイ思いができた。特にサスケでは、対岸手前に投げてクラッチを戻し、巻かずに竿を立てるだけで40アップバス連続13ヒットという初めての経験も味わえた。
 ちなみに私の場合リアフックにはほぼすべて4本フックとなるデコイのX-S51を使用。このフックをリヤに装着するとまずフロントフックにかかった魚の体に、リア4ほんのうち一本が掛かり、両隣にある2本が身を押さえるように当たる。このため刺さった方向に抜かないかぎり抜けにくくなり、バラシが減少した。

●カラー
夕方から暗くなるまでの釣りが多いので、時間帯に応じたカラーが有効だ。夕方、陽が陰るに連れて金や落ち鮎系カラーから白へ、暗くなるとスモークなどシルエットのはっきりしたものがよいようだ。

●気になるランカーハンターのルアー
 バスの話になるが、この釣りでよく釣る釣り人のルアーを紹介したい。池原ダムで出会ったグレッグ氏はやや細身のスイムベイト全般を使用。また、私のランカーハンティングの師匠である上州屋生駒店の岡村氏はキャスティークトラウト9インチ・シンキングのリップ外しモデル。同じくランカーハンターである、大阪のショップ伊勢吉の森口氏はラパラF18(旧モデル)。いづれの方もドリフトを主体に置いているようだ。

●全てをくつがえす60upが登場
 でもって今シーズンのバス。上記の釣り方で異常と思えるほど沢山の魚を釣ることができた。ただ、バスのサイズが55を超えることがなかったため、少し悩んでいたのだ。そんなとき、前述の岡村氏が「流れのなかでブリブリしてるルアーのほうがデカイのが釣れる」と教えてくれたので、開発中のブリブリ集魚系ウォブリングミノー『ザ・ナイフ』のプロトモデルを念の為ボックスにしのばせてみた。
 その日は空に雲が垂れこめて少し暗くなるのが早かった。夕方の間にある程度釣りをすませた我々は河原で適当なことをしゃべりながら、例のプロトミノーを泳がせたりしていたのだが、なんとなく私と友人は流れの緩いシャローになっている水面に目をやった。するとそこに、バスがいた。なんとなく調子が悪かった私は、その魚の向いてる方向に投げやり気味にルアーを投げ込み、泳がせてみたのだ。よくよく考えると、魚のいた場所も、自分の投げた方向さえも理由が分からない。全てやる気がなかったようなキャストだ。ただ、ルアーだけがやる気に満ちていたようで、ルアーはブリブリと泳ぎだした。投げて3秒ほどの出来事である。『ガガガッッ』とその魚はルアーに吸い寄せられるように掛かり、静かに走り出した。ルアーは、樹脂を貼りあわせて泳ぎとウエイト位置を確認するためだけのプロトである。当然力を掛ければ金具が抜けてしまうであろう。ファイトさせられない以上は騙すしかない。幸いロッドワークだけで寄せてこれたうえに、スタジオオーシャンマーク製のギャフ(シーバス用でベストに付けていた)があったため無事ランディング。すこし痩せた64!
cmだった。
 このバスは、これまで書いてきた落ち鮎のパターンとは明らかに違う。わざと流れの緩むシャロー(砂だまり)について、休んでいるような感じであった。ひょっとしたら小さいバスの溜まるエリアを独り占めするようについているのでは…? そう考えた私は次の日、サスケ90SS壱を、これまで小バスエリアだと思って相手にしなかったダム側の砂地に投げてみることにした。緩い流れに逆らうようにスロージャークでブルブルさせ、一旦停める。これを繰り返して3投目、『ガツッ、ググ…ビリビリビリビリ…プツ…』魚は岩場に突入して消息を絶ったようだった。その後、同じ方法で掛かるバスはいなかった。やはり広いエリアを大型が独占していたのだろうか。
 多くのランカーバス、ビワコオオナマズ達など、数々の大型魚を釣り慣れた、自信のあるシイラタックルで、16Lbで一度として主導権を持てず、なすすべもなくドラグを引きだされて私の秋バスは幕を閉じたのだった。

●私的ロッドの角度
 最後に、わたしはロッドの角度を水平面から70度くらい立てることでラインを必要以上に流れに飲ませないようにしている。これが案外ショートバイトの魚を釣るコツかもしれないのでご参考までに。っていうか、たくさん釣ってるときは落ち鮎に限らずいっつもロッドを立ててる気が…。

2016年12月28日水曜日

現場の空論2トゲを嫌う?(2002年7月)

※Sport & Fishing NEWS 2002年の初校原稿です。
現場の空論
第2回

text by小川健太郎
〜好き勝手書くのでアテにしないでね

魚はトゲを嫌うのではないか、の巻き

リード
答えを探す過程で必ず通らなければならない「仮説」。釣りというのはこの仮説を実証させることの連続であり、この探究心への深い情熱こそ、ハマってしまう諸悪の根源なのだ。わかったところでなんの人生の役に立つわけではない、数々の仮説。当ページは、この無駄な知識に人生をかける男の物語である。

●ブルーギルは食われない?
 よく、『バスのエサ釣りにはブルーギルを使わない』という話を聞く。これはブルーギルのとがった背ビレ(棘条)がバスの捕食を妨げるのだそうだ。これによってウグイなどが良質のエサとされているのだが、確かに小さいバスを釣るのには、ブルーギルのトゲが仇になることが多い。しかしデカいバスはブルーギルのトゲに躊躇することなく襲っているように見える。
 またハリセンボンのように全身トゲで身を守っているものもいるが、GTほどの大きな魚になればこれまた躊躇なく襲ってしまう。ほかにはニザダイのようにトゲを備えて敵を攻撃するものもいる。はたしてトゲは魚にとって、どのような意味を持っているのだろう。これが今回のお題である。

●ハリの秘密
 プラグのフックは銀が多く、ワームのフックは黒が多い。これはなんでこうなったんやろか。私はこんな、ちょっとした疑問があって、ブラックバスでいろいろな実験をしたことがある。糸に結んだハリだけを魚に見せる実験だ。
 銀の場合、動きを加えるとキラキラして、近い距離まで寄ってくる魚も見られたが、だいたいの個体がハリから距離を置いて様子を見ていた。また、銀のハリを動かさないときは、魚が動けば反射光も動くことで、妙にトガっているのが認識されてしまうのか姿を見て逃げる個体が多かった。逆に黒の場合、動きが加わると形が見えてしまうのか、逃げる魚が多くなったが、これにアタックする個体も稀に見られた。また、黒が停まっているときは先端が認識しにくいのか、素通りするものがほとんどであった。
 この実験から、ハリの秘密には近付けた気がしたが、トゲに対する行動ははっきり見られなかったが。ただ、銀を停めたときの魚の行動だけは、水槽でも自然条件でもあきらかにトゲを嫌っている行動のように見えた。

●トンレサップ湖畔にて
 最近、私は乾季のカンボジアのトンレサップ湖へ釣りに出かけた。このとき、船頭のニイちゃんに、こんな話を聞いたのだ。
「ここいら一帯にびっしり生えてるこの低木触ったかい?木のすべてが、すげえトゲトゲしてるだろ。これはここの湖からメコン川を下った下流にあたる、ヴェトナムにしか生えてなかった木なんだ。
 雨季になると、トンレサップ湖のここら辺は全部水で埋まってしまって、ほんとなら魚のスポーニングエリアになるんだけどヨ、この木がこんなにびっしり生えてから魚が卵を産まなくなった。トゲの木があるから魚が入って来なくなったんだ。このトゲに刺されたら魚が死ぬんだ。
 この木は数年前ヴェトナムの飛行機が種を撒いていったんだ。なぜかっていったら、このトンレサップ湖にいる魚が湖から離れたら、下流にあるヴェトナムの漁獲量は上がるだろ?おかげでこっちはもうほとんど魚が捕れなくなってしまったよ。」
 この話を聞いたとき、わたしはカンボジア人の反ヴェトナム感情を知っていたので、話の本筋は聞き流していたのだが、このトゲに関する情報だけは聞き逃さなかった。すくなくともカンボジアの魚は大小問わずトゲを嫌うのだそうだ。

●トゲの空論
 魚にはどうやら硬いトゲを嫌う性質はありそうである。ただ、私が見てきたなかでは、口に入るものに関しては『大きすぎなければ気にならない』という傾向が見られた。これに対して、身体に触れるものに関しては『大小問わずイヤ』なのだと考えられる。もしかしたら、魚にとって『スレ掛かり』なんてのはもう、背筋が凍り付くほどイヤな世界なのかもしれない…。

2016年12月27日火曜日

現場の空論1ー動く、動かない(2002年6月)

 「ウケたら、続けよう」ワタクシの育ての親である萱間編集長の原稿依頼でした。そんな『現場の空論』は計三回とボツ一回。ウケなかったと(爆)。
 月に14本もの雑誌に連載をしていた頃、最も思い入れがあったのが、この短命に終わった現場の空論です。裏付けとかの面倒な文献をさわることもなく、これまでの経験をもとに自由に推論を書いていく。そんな連載でした。他の連載は釣り、アウトドア、車、音楽、タウン誌、ゴーストライティング、とどれもこれもある水準のご要望に応えなければならないものばかり。これを発表できることが、心の癒しでした。


現場の空論1
※Sport & Fishing NEWS 2002年の初校原稿です。

text by小川健太郎
〜好き勝手書くのでアテにしないでね

イカの眼はこうなっているのではないか、の巻き

リード
答えを探す過程で必ず通らなければならない「仮説」。釣りというのはこの仮説を実証させることの連続であり、この探究心への深い情熱こそ、ハマってしまう諸悪の根源なのだ。わかったところでなんの人生の役に立つわけではない、数々の仮説。当ページは、この無駄な知識に人生をかける男の物語である。

●餌木ニ思フ
 ふと、餌木ってなんで布巻きなんでしょうね、ってことを考えていると、日常の我々の生活にも、じつはヒントが隠されていたりする。通常、イカは強い反射を嫌うので、それを弱めるために布巻きにする、とか、抱き心地の向上などと言われているが、ホントにこんな理由で布巻きにするの?と疑問が多かった。抱き心地に至ってはもうハリに触れているじゃねえか、ってことで、釣り人に重要なキーとも思えない。
 そんなとき、はじめて餌木のチカラが見えたのは、本誌「10倍釣れる〜」でお馴染みの弓削氏とのはじめての釣行の際であった。この日は同行者の1パイしか釣れなかったし、それ以前にたくさん釣った日もあるが、なぜ布巻きかが見える瞬間などなかったのである。この釣行の際、弓削氏は同行者にこう教えていたのである。「ハイ、ピタッと停める」これを聞いた時、餌木が布巻きでなければならない理由が突然見えてきた。もンのすごいヒントが隠されていたのだ。

●石コロ帽
 『ドラえもん』の漫画に出てくる「石コロ帽」というアイテムをご存知だろうか。それを被ると路傍の石のような存在と化し、誰にも気付かれなくなる。このアイテムを出す時ドラえもんは、「人間には盲点があり、この帽子を被るとその盲点に入っちゃうんだよ」というような一見解るようでわからない説明を加えていた、と記憶している。僕が思うに、この説明の『盲点』というのは、「見えていて気にならないところ」であろうと考える。つまり、そのへんにあるものは気にならない、という部分がこの話のミソであった。しかし、なぜ気にならないのだろうか。いわれてみればその辺の石は注意して見ないと忘れてしまう。小さければ小さいほどその感は強くなるが、今回重要なのは大きさではなく「石コロは動かないこと」これに尽きる。なにしろジッとしていれば人間にだって気付かないことも多いわけだ。これを今回『盲点』として話を進めて行きたい。

●動く、動かない
 この盲点が発生するのはとりわけマットなものが多い。なぜなら、クリアなものや反射するものは、こちらが動くと向こうも動くのである。ガラスのコップが置いてあれば眼には入ってしまうのだ。しかし、ガラスが動いてしまうと、捕まえるのも困難になるほど距離をつかみにくい。これはシルエットをまとわないからであろう。逆に布や木、石などの反射、透過をしないものはどうなのか。こいつらは自発的に動くと見えてしまうが、動かない限りは、じつに注意を注ぎにくいヤツラなのである。
 つまり、餌木を動かしている間はイカには餌木が見えている、ということで追わせる。次に停めた瞬間に見えなくなることで、イカには急に見えなくなり、生物特有の「ないものほど欲しくなる」欲求をくすぐっているのではないかと思いはじめたのだ。

●パズルの最後のピース
 思ったらすぐに試す。これが現場型妄想ヤロウの真骨頂である。様々な釣り場で見えているイカのみに絞って実験を繰り返すことにした。確かに停止させるとイカは餌木がわからないのか、当てずっぽうな攻撃ばかりするようになった。これがいわゆる「横抱き」の多発である。個人的には釣果に結び付けたいわけではないので、このイカの眼を騙して楽しんでいたわけだが、ある日、これを見ていたガンクラフトの平岩氏が、「前方へ方向性を与えると尻のフックに抱きますよ」と教えてくれた。これがこのイカの視覚問題というパズルの、最後のピースだったのである。
 イカはマットなものが停まるとソイツの方向性が解らなくなる。眼でも見えにくい。この状態で闇雲に横抱きしてくるわけだが、もしここで餌木にカーブフォールなりの方向性を前方へ与えると、見えないはずのものが急に残像のように(イメージね)見えてくる。このわずかな差異をきっかけに、しっかりと抱きにかかるのではないだろうか。
 こう考えていくと、たしかにこれは布巻きでマットにしたくなる話ではないだろうか。


オマケ
日本の面白い釣り
ホタル釣り

 6月になると、近郊にはわんさかとホタルが出てくる。誰も気付かないだけかもしれないが、そんじょそこいらの川にもホタルはいる。秋には秋のホタルもいるんだよ…ってそんな話ではなかった。
 わたしはこのホタルを釣るための仕掛けをいつも車に隠している。それは昔ペットボトルのお茶のおまけで付いていた、グリーンの小型ダイオードで、ボタン電池で光らせるタイプのもの。指で配線を押すと点灯、離すと消えてしまうというシロモノだが、これをいっぱい持っている。コレクターではなく、すべてはホタル釣りのために、である。
 無脊椎動物はグリーン〜シアン系の色の光に色気を感じるらしく、ホタルイカも上方に向かってはこんな色で発光し、求愛したりする。これは紫外線が判別できることと関係があるのかもしれないが、今回はその話は置いておこう。このグリーンのライトはそんなホタル達の信号の光より、微妙に強い光を持っているのだ。これは有利ですよ。
 何しろこのグリーンのライトをホタルにあわせてチーッカ、チーッカ、と刻むだけでホタルは寄ってくるのだ。当然向こうは命を張っているので、ニセモノと気付き次第、それはもう超高速で逃げていってしまう。しかしホタルの言語がわかればもうお手のもの。ヤツラは近づいてくると点滅をやめて点灯しだす。これが彼ら独特の1対1の合図となるのだが、このときあえてライトを消してしまう。するとどうだろう、今度は光源を探しはじめ、非常に近くまで寄ってくる。これを手でフワリと捕まえてやる、という寸法。
 おじいちゃんから子供まで楽しめるので、シーズンが始まると魚そっちのけで皆さんこれに没頭している。ボランティアみたいなもんにもなる可能性を秘めた、近未来型の新しい釣りといえよう(嘘)。

2016年12月26日月曜日

過去原稿の墓場を作ります。

先ほどのニュースでジョージマイケルが亡くなったことを知りました。
人生の影響のほとんどすべてを彼から受けていたワタクシにとっては、
なんとも言葉にすることは難しく、お悔やみ申し上げるのが精一杯です。

自暴自棄になるのもアレなんで、この件で、ずっと気にかかっていたことを
すっきりとさせる決心がつきました。
過去の原稿で権利が自分にあるものをすべて、元原稿で公開したいと思います。
自分がファンであったジョージマイケルの音源が、例えどんな未完成品でも気になるように、
ジャンルは違えど自分にも熱心なファンがいらっしゃったことに対し、何もできていなかったこと。
これができずに死ぬとしたら、やっぱり申し訳ないのです。

今回の件で、思い知らされたこと。
今までは釣りというものは音楽と違って、人間が何かを表現したり教えたり…なんかは正直どうでもいいと思ってました。
誰かが解明して、魚が証明して、そんで終わり。そこに誰の名前も要らない、と。
他のレジャーと違って、相手が魚である以上、道、家はない、と。
でもその考えは、釣りに取り組む過程が人生にまで影響を及ぼすことを考えた場合、ちょっと違うものだったようです。
道もあるし、家もあって然るべきでした。
釣りしかしない人も居ますし、そうでない人にも、沢山の人生を変えるようなことをして来てしまったようです。

だからと言って自分がそれを先頭切って何か道場のようなものを立ち上げるのではないのですが、
釣りをやって、魚に何かを求め、知りたい人がいるのであれば、
ワタクシなんぞの稚拙な原稿であっても、何かの役にたつかもしれない。
ましてや週刊月刊、地域限定でほんの一定期間公開されただけのものが、
すべての人の目に留まるわけもなく、見過ごされた方も多いはず。

そんなわけで、権利がワタクシにある文章や写真に限っては、
これから余力が続く限り随時自動公開していこうと思います。
明日12/27付けで一回目、以降は月水金で朝の自動投稿を予定しております。
原稿量が普通の執筆者レベルではないので、どこまで行けるかはわかりませんが、
今後も脳みそがスカスカに死んでいく人間の余力だと思って、
生暖かい目で見守ってください。