2017年1月27日金曜日

釣り場の見分け方1ほか(2002年7月BW誌)

10月号との記録でしたが、他の連載が押してたので7月に書いたようです。この次の号は特別版ということで、取材で編集部記事が入ってました。さすがに権利関係で掲載できません(笑)


Academic LAKE Vol.9

◎釣れる釣り場の見分け方・その1(水の色編)
 自分をはじめ、陸っぱりでバス釣りを楽しんでいる読者の皆様のために、『釣り場でどこを選ぶのか』の切り口を、今回からいくつか紹介したいと思う。これらの切り口はどれもが互いに相関関係を持っていることもあり、一つイイ条件を見つければ、あとの条件が附随してくることもよくある。特にウィードなどは、元気よく生えていること自体でそのエリアが非常に生物にマッチしていることがわかる指標となりうる。しかし、リザーバーなどウイードの育ちにくい環境もあるので、どの要素を探して行けば魚が釣りやすくなるのかを考えてみたいと思う。

◆水の色
 私が釣り場を確定するとき、最も簡単な探し方がコレだ。水の色は言葉にできないほどたくさんパターンがあるが、経験で釣れる色を見分けることができれば、かなり見切りが速くなる。水の色はエリアによって青、緑、黄土〜茶色、赤〜こげ茶色と4つほどのパターンに、濁りによって無色、白濁り、ササ濁り、土砂濁りとさらに4つほどにおおまかに分けることができる。

まずはエリアの『普段の水の色』を見てみよう。

●青:
 緑の抜けるような、クリアなエメラルドグリーン。通常、水温が低いエリアの場合この色が多く、山上湖や源流に近いダム、ダムのバックウォーターなどがこういう色になる。砂が白ければ青さがより際立つ。成分がアルカリ性の場合は、魚に水質が合っていないことが多いので最初から釣りにならない場所となりやすいが、この場合はたいてい水の色が真っ青である。弱酸性で青い緑の場合は他の水域と比べても水生植物や植物プランクトンが少ないため、流れ込み付近以外は酸素量が少ないと考えられる。
 こういうエリアは、水温が低いため夏がベストシーズンとなることが多い。雨によるニゴリが起きたときと朝夕が狙い目で、トップやミノーによる非常にエキサイティングなゲームを展開できるが、それ以外はスレやすい見えバスが中心となる。ミノーに反応しなければノーシンカーのワーム以外に打つ手は少なくなってしまう。水温が低いからか、バスのサイズも小型が多く、小魚が溜まっていなければ、せいぜい45cmまでが釣れる上限になってしまいがちである。

●緑:
 琵琶湖の北湖に代表される、もっとも一般的なバス釣り場の色。薄い緑と濃い緑があり、どちらも比較的釣りやすいエリアである。水深のあるエリアの黒っぽい透明な緑は生命感に溢れ、元気な魚を育んでいる可能性が高い。薄い緑の場合、水深が浅いだけなら問題ないが、水深が深くて薄い緑の水域というのは酸素が不足していたり水質があまりよくなかったりする。このような色であれば水面のアオコのチェック、泡立ちのキレ具合を確かめてみよう。泡が消えなかったり、アオコが出ていれば、難しい釣りになる可能性が高い。また、ダムでなければウイードの絡む条件が多い水色でもある。また、視界がワイドにとれるため、群れで回遊するタイプの魚も多くなるように思う。バスの体色はハッキリする。

●黄土〜茶色:
 霞ヶ浦や、多くのため池に代表されるマッディ・カラー。土から由来する有機物を多く含み、ニゴリが出やすいため光が届きにくく、ウイードの生育を妨げる。主に平野部に多く、水深も浅い場所がほとんど。底質は泥や砂が多いため、ちょっとした障害物にバスが居着くようになる。視覚が利かないからか、エサはハゼやヨシノボリのような底性の小魚、エビ、ザリガニがメインで、あまり動き回って追い掛けて捕食することも少ない。そのかわり聴覚が発達し、音や水流の絡むルアーへのヒットが多くなる。バスの体の模様は薄い、または消失しているものが多い。

●赤〜こげ茶色:
 鉄分を多く含むエリアの水の色。クリアな場所が多いので基本的には緑の水色と同じように考えている。ダムの場合濁りやすく、濁ると難しくなるが、池の場合はなぜか濁りにくい場所が多い気がする。スモークや金黒、黒系のルアーになぜか実績が集中するのもこういう釣り場。理由はよくわからないが、小魚をメインベイトにしているときが多いので、ノーシンカースティックベイトなどの水平の動きの効果が相当高い。

次に『濁り』をみてみよう。

●無色:
 濁りがない状態を指す。何日も晴れていて濁りが出ていない場合、水質がトロリとしているように見える場合がある。さらには澄んでいるのにアオコが浮いたりすることも多い。これは閉鎖水域で夏によくある現象だが、透明度がやや落ちている状態のようだ。水温の上昇が続き、プランクトンの適水温を上回ってしまうとそれまで優位にいた植物プランクトンが活動を弱める。このことで、水温上昇による溶存酸素量の低下にくわえて生産される酸素量も減少し水質が悪化するのだ。このような条件以外の透明な水は、概して良好な状態といえるだろう。

●白濁り
 白い濁りは工事濁り、慢性的な濁りの2つで、大概が雨に起因する濁りだ。
 工事濁りというのは上流部で工事の際、コンクリートの使用が原因で発生すると見られる。特に水が微妙にヌルヌルとする場合は石灰などのアルカリ質を含む場合もあり、これは魚にpHショックを引き起こすことも考えられ、魚をはじめとする水中生物にとっては決してよくはないと思う。この場合全く釣れないに等しい釣果となる。琵琶湖の悪名高い浚渫による濁りや平野の農薬による濁りも同様で比較的釣りが困難な状態になることが多い。
 慢性的な濁りに関しては、長雨、大雨のあとなど、何日も経っているのになかなか退かない濁り。色は普段の水の色と白を混濁したような水色でササ濁りよりもハッキリ白い。視界が普段の透明時よりもわるいためか、釣りづらい場合が多い。釣れるエリアを知らない場合は透明な水の流れ込むインレットを探すか、アウトレットまで行って水を見比べ、落ち着いているエリアを重点的に叩く場合が多い。また、アシなどの植物が生えていればその付近もチェックする。

●ササ濁り
 次にササ濁りだが、こちらは雨で濁りはじめたときなどに見られる薄い濁り方だ。白い濁りを普段の水の色で包んだような柔らかい濁りの時で、比較的釣りやすい。流れがあるエリアで朝夕の活性が著しく上がるのも、この濁りの時が多い気がする。魚の警戒心も削がれるので陽が昇ってからも長時間安定した釣果が得られることも多い。

●土砂濁り
 雨の次の日などに行くと、釣り場全体がマッディに変わっている場合がある。この場合、魚がどこへいったのか検討すらつかなくなることが多い。稀に大当たりすることもあるが、気圧の変化など原因がまちまちで不明瞭であることが多い。私の場合、ウイードの中など、比較的魚が潜みやすいエリアを知らないときは、釣り場ごと切り捨てて違うエリアに行くことが多い。



◆質問コーナー
久しぶりに色の質問が来たのでさっそく答えてみたいと思います。
Q:ワームでもプラグでもいいのですが、大きいバスが釣れるカラーは存在しますか?(岐阜市・高橋さん)

A:難しい質問ですね。ラメなど微妙な差を考えず、原色の信号でデカイ魚を釣りやすい色というのはあると思います。赤、緑、白、黒、黄(チャートではない)の5色です。ただ、そういう色はぜんぜん売れてないことが多いですよね。これは数をそろえなくてはならない『トーナメント文化』の弊害だと思います。自分で考えてデカバスを狙う人は、数釣りを一切排除して考えるので、自然とある信号に気付くことになると思います。しかしながら「数が釣れなくては幸せに思えない」という暗示にかかっている多くのアングラーの考え方では、60オーバーへの道はどんどん遠くなっていくように感じています。まず、マッチ・ザ・ベイト信仰とナチュラルカラー信仰を魚の視点から考え直してみて、簡単に整理することが大事だと思います。
 指標となるデカバスカラーはSIN-ZOベイトの小川セレクションカラーとして、少ないながらも発売されているので他のルアーの購入時にでも参考にしていただければ幸いです。ちなみにこのカラーのSIN-ZOを使うなら、4インチの使用をオススメします。
●カシスレッド:赤。フロリダバスや回遊タイプなどの小魚狙いのバスに。
●シーグリーン:緑。ウォーターメロンではなくアボカド。先述の『緑の水色』にマッチング。居着きバス狙いに。
●マンゴープリン:黄。理由はよくわからないですが、とにかくデカいバスが釣れやすい色です。45〜60cm狙いに。
●チョークホワイト:白。ちょうど一年前の本誌の掲載をきっかけに今シーズンから販売。夏〜秋のデカバス狙いの純白。魚の目線より上での使用や、ノーシンカーでリリーパッドなどの上を通すときに大きいサイズが出やすい色です。
●ソリッドブラック:普通の黒。以前本連載にあったように、スライド、ダートなど、動くとバスに視認されるカラーで、動きの緩急で誘うカラー。初めにこのルアーで65cmの実績を出したことからSIN-ZOベイトを発売することにした、思い出カラー。

読者の皆様の質問お待ちしております!!
住所、氏名、年令、電話番号、ペンネームを明記の上バスワールド編集部アカデミックレイク係または●●@●●●.jpまでお願いします。採用者には小川氏オリジナルルアーや、場合によっては質問解答の内容に準じた商品セットなどをお送りします。


小川健太郎/25才。住所不定の車上生活者。水産学科で魚類のバイオテレメトリー(遠隔測定)を専攻したが社会の役には立っていない。365日連続釣行2クールを含む、総計3200日の釣行を就職までの11年でこなした「釣り場型ひきこもり」。シーバス色理論、池原ダムでのヤーガラ、ビッグバドなど、ごく一部のマニアの間だけで知られる。SIN-ZOベイトなどを開発。